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2013 鈴影さんBD創作 「光のある方へ」

「楽しかったね、ユメミちゃんっ!こっちでもプレゼントもらえたけど、サンタさん、明日の朝ボクのお願い聞いてくれるかなぁ・・・。」
子ども会で催されたクリスマス会の帰り道、自治会会長さんの変装したサンタさんにポケモンのぬいぐるみをもらってはしゃいでいる天吾の頭をくしゃっと撫ぜながら、あたしは微笑ましく思いにこっと笑った。
「大丈夫よ、あれだけお願いしたんだもの。きっとサンタさんはわかってるわ。」
「そうだぜ、天吾っ!すっげぇ楽しみだよなー!な、ユメミちゃんオレ腹空いたよ~。」
恐竜のビニ人形を上に下に動かして遊びながら歩いていた人吾の恐るべき食欲に、あたしは人吾の後ろにヒロシの影を見てしまった。
「んもう、クリスマス会で散々食べてたじゃないの!夕食まで我慢してなさい、今日はパパも早めに帰ってきてくれそうだからご馳走用意してあるんだからね。」
「しょうがないなー、わかったよ。さ、暗くなってきたし早く帰ろうぜ。天吾、競争だぁ!」
そう言って走り出す2人の背中に追いつくように、あたしは声をかけた。
「車には気を付けるのよ、あんたたち!」
はーい、とお返事だけはいい2人にやれやれと溜息をついて、あたしは後をついていった。

今日はクリスマスイブ。
鈴影さんの誕生日。

銀の薔薇騎士団の用事で今は日本にいない鈴影さん。
今年はロッジの皆も都合がつかなくて、忘年会か新年会をするときにお誕生日をお祝いするのを兼ねる事になった。
鈴影さんは気を使わなくていいって言ってたけど。

あたしがつらつらと思いだしながら家路につくと、
「あ、鈴影のにいちゃん、いらっしゃい!ユメミちゃんならもう来るよ!」
そう双子の声が聞こえたので、あたしは慌ててそちらに向かった。

深々と冷える薄闇の中、双子の相手をしてくれている黒のロングコートを着た鈴影さんがそこにいた。

「・・・鈴影さん、おかえりなさい!もう帰ってこれたの?」
家の中に入る双子を見送りながら、鈴影さんはその涼やかな瞳をあたしに向けてくれた。
微かに吹く風が、彼の長い髪をその逞しい体躯に懸からせる。
彼が傍に佇むだけで、あたしは安心感に包まれる。
「いや、また出ないといけないんだが、ユメミに渡したいものがあってね。」
胸元に手をやった鈴影さんに、あたしは彼のコートの裾を掴み、もう片方の手である方向を指さした。
「あ、じゃあせめてあちらへ行きませんか。うちの自治会長さんの力作のツリーがあるんです。」
鈴影さんは薄く微笑むと、あたしが指さした方向へゆっくりと歩きだしてくれた。

「ね、キレイでしょう?道を通る人が喜ぶようにって立派なツリーを自分の管理する土地に置いてくれたんです。」
キラキラと色とりどりに彩る電球とオーナメントに飾られた大きなツリーの袂で、あたしは横にいる鈴影さんを見上げた。

「せっかくのお誕生日にお祝いできないのが残念ですけど、今日会えて良かったです。・・・ホントは、あまり鈴影さんご自分の誕生日好きじゃないのかなと思ってるんです。」

ぴくっと微かに身を強張らせたように思う鈴影さんだけれど、それは一瞬の間だったように思う。
「どうしてそう思う?」
「この時期はなんだか鈴影さんの瞳に黒い闇が垣間見えるような気がして、あたしなんかが知らない事があるんだろうなって思うんです。でも、あたしはこの日が好きです。鈴影さんが生まれた日、だから今こうして会えているんだなって思える日ですから。」
あたしの言葉に食い入るように見つめる鈴影さんに向かい合い、あたしは話し続けた。

「鈴影さんに出会えて嬉しい、係り合うことができて嬉しい。いつか、いつか鈴影さんのつかの間でも安らぎになれたらいいと思うんです、あたしは貴女ですから。」

おこがましいですけど、頑張りますね。

そう言うあたしの頭にそっと手をあてて、鈴影さんは優しく微笑んでくれた。
「・・・オレにとってはね、ユメミがそこにいるだけで安らぎになっているよ。ユメミが元気で、無事で過ごしていて欲しいと思う。だから、これを身に付けておいで。」
そういって鈴影さんが差しだしたのは、小さなピアス留め。
「これは月光のピアスと連動しているものでね、ピアスの効果を状況によって最大限に引き出してくれるのさ。ユメミの身を守ってくれるだろう。」
鈴影さんはあたしの耳元にその優美な指を近づけ、それをピアスに付けてくれた。
その感触に、あたしは背筋にぞくっとしたものを感じつつ、払拭するように顔を上げた。
「あ、ありがとうございます・・。プレゼント、ロッジの皆と一緒に渡しますね。そう約束しちゃいましたから。」
「ああ、楽しみにしてるよ、ありがとう。」

あたしと鈴影さんは、またツリーを見上げた。
キラキラ光る光彩が眩しくて、なかなか目が離せなかった。
そうやってただ2人で、そこに佇んでいた。



Fin




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Category: 2013 BD創作

2013 カミルスBD創作 「微睡の中へ」

「カミルス、発作落ち着いたの?」


ガイウスの治療室で横になっていたオレに、怖々とマリナが声を掛けてきた。
「・・・ああ、落ち着いたよ。何か、あったの?」
オレがゆっくりと半身を起こすと、マリナが慌てて止める。
「ゆっくりしなきゃダメよ!あたしはね、カミルスが発作を起こす間隔が頻繁になってきたから・・・。」
心配になっちゃって、と消え入りそうな声でぼそぼそと話すのが、見ててくすぐったい。


マリナはオレを嬉しくさせたり心配させたりする天才だと思うよ。
この子の振る舞いで一喜一憂してしまう自分に笑ってしまう。


「マリナ、ここに座って。」


オレがポンポンと枕元を叩くと、訝しがりながらもマリナがそこに腰を落とす。
「カミルス、何・・・ぎゃっ!?」
「マリナは肉がみっしりだからな、載せ心地がいいな。」
「なぁんですってー?勝手に膝枕にしといて失礼な事いうんじゃないわよ、振り落すわよ?・・・あ、そうだ!」
オレがマリナの膝に頭を乗せ目を閉じていると、口ではごちゃごちゃいいながらも手つきは丁寧にオレの頭を少し傾けてきた。


「ふっふっふっ、耳掃除してあげるわ。結構ユリナちゃんやエリナには評判良かったのよぉ~。あ、その2人はあたしの姉妹でね、子どものときやりあいっこしてたの。懐かしいわ。」
どこからか取り出した細い木の板のようなものでオレの耳を掃除し始めたマリナ。
その心地よさにふっと心が緩んでしまう。


「・・・このままずっと、オレの傍にいてくれ。」


小さすぎる呟きはマリナには聞こえなかったようだ。
「カミルス、寝ちゃったのー?まだ片耳残ってるのに。ま、いいわ、このままマリナさんの膝を貸してあげるわよ。」


オレの女神は知らないだろう。
今日はオレが生まれた日なんだ。
穏やかに過ぎた日々から屈辱の経験を経て今に至り、明日の我が身がどうなるかわからない。
そんなオレに付いて支えてくれる女神からのプレゼントは、ひそかな思いやり。


ずっと、ずっとオレの傍に。
愛しているよ、オレの女神。




Fin

Category: 2013 BD創作

2013 冷泉寺さんBD創作 「インソムニア」

※書庫 『創作(銀バラ)』 「銀バラ・冷泉寺」の世界観ですが、こちらだけ読んでも差し支えないと思います。
冷泉寺さんは救急部の医師という設定です。



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最近、どうも寝つきが悪い。
忙しいせいかもしれない。ホルモンバランスが悪くなっているのかもしれない。
きっと原因は一つだけではなく、いろいろな事柄が重なっているのだろう。
だからといって、仕事に穴を開けたりするのはしてはいけないし出来ない。もちろん他人に悟られるのは我慢ならない。
眠れなくても目を閉じ体を休めるように努める。
安寧の地への道行きを模索しながら。




「よっ、冷泉寺。久しぶり。」
予約患者や新患患者の診察が終わり、閑散となった待合で高天が片手を挙げてのほほんと挨拶してきた。
またこいつ、連絡もなしに急に現れたな・・・。
諦めを滲ませながらも憮然としたあたしの顔を見ても、高天は気にした風もなく横に置いてあった大きな紙袋をごそごそしだした。
「いつものごとく、よくあたしを捕まえられたな・・・。いいタイミングじゃないか。」
あたしが呆れながら言うと、高天は得意げに口角を上げた。
「オレ、救急部の婦長さんと茶飲み友達になったんだ。孫みたいに思えるんだと。・・・それより冷泉寺、おまえ今日誕生日だろ?これオレとアキから。レオンとユメミは後々持ってくるってさ。」
「あの2人が?別にそこまでしなくてもいいのに。」
大げさになっていく話に、あたしがため息をつきながら高天の横に座ると、高天は先程の紙袋から綺麗にラッピングされた箱を取り出しあたしの膝に置いた。
「なんだかんだいいつつおまえに会いたいんだろうさ。これ、発案はオレで選んだのはアキなんだ。だから2人からのプレゼントになっちまうけど勘弁してくれな。アキも今日来たがったんだけど、急に仕事が入っちまって悔しがってたよ。」
開けてみろという高天の言葉で中身を確認すると、足裏に貼るといいシートやあたし好みの香油やアイマスクシートなどの細かいものがこれでもかというくらい詰め込んである。
「体を休めるためにいいものをって言ったんだけど、こりゃまたアキ気合いいれたなぁ。オレじゃここまで思いつかないぜ。プレゼントっていうか差し入れみたいになってごめんって言ってたけど。」
感心半分呆れ半分の高天を見て、あまりの量の多さに唖然としていたあたしも少し笑ってしまった。
「オレ、海外行って我が身1つでいることが多くなって、体が健康であることが一番大切だって痛感したんだ。医者の激務は想像するしか出来ねぇけど、長く続けてると澱みみたいなものが出てきて辛くなるだろ?だからさ、冷泉寺が元気で過ごして欲しいっていうのがオレの願いなんだ。」
気持ちの押し付けになってたらわりぃけど、と苦笑いする高天。
「いや・・・。ありがとう。」
どこまでもまっすぐに、でもあの頃よりも人を包み込める空気を纏った高天。
久しぶりに自分のまわりに鮮やかな風が吹き上げていく気がする。
「コーヒーでも買ってくるわ、おまえ座って待ってろよ。そんでもう仕事終わったんだろ?メシ食いに行こうぜ。」
そう言って立ち上がった高天を見送った後、少し気が緩んだのだろうか。
「・・・ありゃ、冷泉寺寝ちまったのか。しょうがねぇなぁ。少し寝かせてやるか。」
遠くで高天の声がして、ふわっと体に何か掛けられたのがわかった。
少しして目覚めるまで、高天の肩に頭を預けていた。




Fin

Category: 2013 BD創作

2013 マリナBD創作 「返事」

☆和矢BD創作 「手紙」 と対のお話になっています。



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郵便受けを覗くと、手紙が1通入っていた。
あら、和矢からだわ。
あたしはほくほくとご愛用のちゃぶ台に戻り、戴きもののクッキィとティーパックで淹れた紅茶でおやつの時間を始めながら手紙を開封した。

『マリナ、元気にしてるか。
この間はプレゼントありがとう。
すごく、嬉しかった。
オレの為に響谷の家の庭の草抜き頑張ってくれたんだってな。
マリナらしいなと思ったよ。』
あら、薫バラしちゃったのね。
あたしらしいってどういうことかしら、うーん。
喜んでくれてるみたいだからいいんだけど。

『マリナも同じ構図で絵を描いてくれたんだろ?
オレ、それも欲しい。
もらった絵とくらべたりしないよ。
マリナがオレの為に描いてくれた絵も欲しいんだ。』
え、そうなの?置いておいて良かった。
それにしても薫、それも知らせちゃったのね。なんか恥ずかしいわぁ。

『たぶん忘れてるだろうけど、この手紙が届くときはマリナの誕生日だよな。
マリナ、誕生日おめでとう。』
あ、そういえば今日あたしの誕生日だったわ。
忘れてるだろうって、うう、あたってたわぁ。
さすが和矢って言えばいいのかしら、くっそー。

『それで、プレゼントなんだけど。
オレ、一度日本に帰るよ。そのときに渡す。
そして一緒に、母の墓参りに行ってくれないか。
そのあと、マリナのご両親にもご挨拶したい。』
あたしは飲んでいた紅茶をがちゃんとちゃぶ台に置き、まじまじと手紙を見てしまった。
え、えーと、これって、まさか・・・。

『びっくりしたよな?
でもずっと考えてたことだ。
会ってからもっとちゃんと言うけれど、オレと結婚してほしい。

ああ、やっぱり会いたいよ。

会いに行くから、待っててくれ。


                                                         和矢』

は、へ、えーーーっ!?
か、和矢・・・。ええーーーーっ!
思わず手紙を持ちながらアタフタしていたら、コンコンコンッて3回扉が叩かれた。
この叩き方をするのは1人しかいない。
あたしは挙動不審になりながら、その原因を作った張本人を出迎えに行った。




Fin


Category: 2013 BD創作

2013 和矢BD創作 「手紙」

『和矢へ

和矢、元気にしてる?
あたしは元気よ!
いつも手紙や電話くれてありがとう!あたしだってたまには素直にお礼言えるのよ?直接会うと恥ずかしかったりするんだけどさ。
もう半年したら和矢の留学も終わるね。
和矢が帰ってきたら、とりあえずゆっくり会いたいわ!

和矢の誕生日プレゼントに、薫の家にあったものをお願いして譲ってもらったの。
あたしはとても気に入っているものだけれど、和矢も気に入ってもらえたらいいな。

薫が送ってくれるっていうからこの手紙も同封してもらったの。
和矢、お誕生日おめでとう!

じゃあ、またね!

                                                マリナより』


『黒須へ

よっ、久しぶり。そっちで元気にやってるかい?
マリナはあたしの世話をやくって張り切ってよく家に来るけれど、どっちが面倒見てやってんのかって感じだね。
早く帰ってきてマリナを引き取ってくれ。
なんやかや言って寂しそうにしてるぜ。

マリナがまた変わったこと言い出してね、あたしの部屋に飾ってあるこの絵をどうしても黒須の誕生日プレゼントにあげたいんだと。
この絵はあたしがフランスに行ったときに気に入って買ったものだけれど、そんなに高いものじゃない。
丘の上から家族が夕日を眺めているものだ。
黒い髪の父親、金髪の母親、黒髪の小さい娘弟。皆後ろ姿で手を繋いでいる。
タイトルは「過去と未来」
「あたしも同じ構図で描いてみたの。でもこのタッチがどうしても描き上げられない。悔しいわ。」
ってマリナは半泣きになってたけどね。
じゃあうちの庭の草抜きを引き受けてって言ったら2週間かけてやりきってね。
どうしてこの絵がいいのかと聞いたら、
「和矢が昔を思い出したときこうだったって思ってもらえるかもしれないから。未来を思うときこうなりたいって思ってくれるかもしれないから。」
だそうだ。

ちゃんとプレゼントに相応しいように額を新しくしたから、良かったらもらってやってくれ。

じゃあ、またな。

                                                 響谷 薫』






Category: 2013 BD創作
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