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リクエスト創作 「花篝」 (マリナシリーズ)

築城祭も終わり美女丸の家族のお葬式も済ませ、和矢の熱も下がったので館をお暇することを告げに行ったあたしは、離れのお義母さんの部屋を片付けている美女丸を見つけ、なんだか切なくなった。
「ああ、マリナか・・・。どうかしたか?」
部屋の前で佇むあたしを見つけ、美女丸がこちらへ振り返った。
「あ、あのね、あんたが今持ってるの何?」
なんだかお暇することを言いたくなくなったあたしは、美女丸が持っているものに気が行っているように話掛けた。
「これは夜桜に見るために焚く火を入れるものだ。ここで焚く火を篝火という。火を焚いて夜桜を観賞することを花篝というんだ。」

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「あ、知ってる!昔京都に住んでるとき円山公園に見に行ったもん。すっごい奇麗だったー!」
「花篝は祇園が有名だからな。全国を転校しているといいこともあるもんだろうな。」
「どこに行ってもお別れするときは悲しいもんよ。」
あたしがそう言ってる間も黙々と美女丸は片付けをしていると、気色悪い石が出てきて転がり庭に鎮座した。
「美女丸・・・・・・・・、それ、歯型の跡みたいじゃない?」
恐る恐る指さすあたしに、庭に下りて確かめた美女丸が、
「だとしたら、すごいあご力の持ち主だな。おまえといい勝負だ。」
あたしはそのまま彼にお尻を向けて自分の部屋へ帰ったけれど、シャルルと和矢に石を確かめに行かせ、せせら笑う和矢をぶん殴り、石が気に入らないというシャルルに同意を得てもう一晩泊まることにしたのだけれど。
その晩はなんだか落ち着かなくて、ふと思いついてスケッチブックを開いた。
集中して絵を描き、色も付ける。
それを夕食の片づけが終わり寛いでいる3人の所へ見せに行った。

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「昔見たの思い出して描いたの!真っ黒だった夜に篝火浴びて浮かぶ夜桜が本当に奇麗でね・・・。」
あたしが昔を思い出しながらそう言うと、美女丸がふむ、と腕組みしてあたしを見つめる。
「うちも春になれば花篝をやる。なかなか見応えがあるぞ。招待してやるから見に来い。」
「美味しいものもよろしくね!」
あたしがそうお願いすると、ぺしんと横にいた和矢に頭を叩かれる。
「おまえは食欲しかないのか?・・・でも、この絵はいいな。もう1枚描いてよ。」
神秘的な瞳を黒いくせっ毛の間から向けられて、あたしは胸がドキンとした。
「い、いーわよ!」
あたしがしどろもどろになってそう言うと、壁に凭れていたシャルルがひょいとあたしの絵を覗き込む。
「日本人は桜が好きだね。オレはゆっくりと桜を観賞したことはないけれど、一種幻想的である花篝を見るのはいいね。オレもその絵が欲しいからもう1枚描いてくれ。しかしマリナちゃん、君売れないまんが家にしがみ付くんじゃなく絵を勉強してもいいかもしれないよ?」
うう、褒められてるのか貶されてるのかわかんない。
なんにせよ、この絵が評判良くて良かったわ。
ぜひとも美女丸の家の花篝が見れたらいいな。

まぁこのあと白妙姫の呪いの石でえらい目にあうんだけどね・・・。
いつか、あのときの約束が果たされる日を願ってる。




Fin




こちらは朱夏さんからのリクエストです(*´∇`*)

マリナシリーズで、特定のカップリングものではないものが読みたいです。
雰囲気としては、ミステリーの頃のような。。
もちろんマリナは登場、あとはお任せします☆


とのことで、なるべくキャラがたくさん出ている方がいいな、と「愛いっぱいのミステリー」P236~P240あたりのお話にしました。
この機会に「愛いっぱいのミステリー」を読み返してみましたが、皆がキラキラしていて懐かしかったです(*´∇`*)

朱夏さん、リクエストありがとうございました♡




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リクエスト創作 「あなたといると」 (シャルル×マリナ)


こちらは、ハトさんからのリクエスト創作 「あなたといれば」 (シャルル×マリナ) のお話と繋がっています。

よろしければ、こちらからどうぞ。
         ↓
「あなたといれば」 (シャルル×マリナ)




「ねぇママン、パパとちゅーして。」
「・・・は?」
ど、どうしたのルナ!?
あたしの顔があまりにもびっくりしたものだったからか、ルナがぷーっとふくれて、もう一度大きな声で叫んだ。
「あのね、パパとママンがちゅーしないとダメなの!だって、パパと・・・ママン、ケンカしてるんだもん!」
そう言ってあたしに良く似た茶色の瞳に、大きな涙の粒を浮かべるルナ。
「ケンカダメよー、なかなおりよ・・う、うぇ・・・。」
お姉ちゃんのルナにつられたのか、エマまで大泣きし始めた。


あたしはちらっと向かいにいたシャルルに視線を合わせた。
シャルルも戸惑ったようにあたしを見ている。
・・・気付かれてたのね。


シャルルが泣いているルナとエマに近づき抱き上げると、
「・・・パパとママンは大丈夫だよ、何も心配しなくていい。」
ひっくひっくと泣く2人をあやしていたシャルルは、あたしにそっとキスをする。
シャルルからエマを受け取り、もう一度シャルルとキスをするとルナがシャルルに抱きついてまた泣き出した。
「心配かけて、ごめんね・・・。」
エマとルナが泣き疲れて眠るまで、シャルルとあたしは子どもたちの背を撫で続けていた。

「・・・子どもってよく見てるのね。」
エマとルナを寝室へ運ぶと、あたしは2人に掛布団を掛け直してあげた。
寝室の扉に身を預けていたシャルルも、小さく溜息を吐く。
「心配をかけてしまったな。しかし、子どもに言われるとずしんと来るものがあるものだね。」
「そうね・・・。」
なんだか気まずい気持ちになりながらぎゅっとベッドの縁を掴んでシャルルを見ると、寝室を出ていこうとするシャルルの背中が見えた。
「おいで。」
そう言ってシャルルは左手をあたしに差し出す。
あたしは自分の右手をシャルルの左手に絡めて、そのまま歩き出す。
「シャルル、ごめんね。」
「・・・オレも、悪かった。」
2人視線を合わせて、仲直りのキスをした。


すやすやと眠るあたしたちの娘たちが、起きてきたら安心しますように。



Fin



こちらは六花さまからリクエストいただきました(*´∇`*)


シャルマリで、以前のリクで書かれてたお子様がいるお話の後日談が読みたいです♡いつまでたっても新婚カップルのようなシャルマリ夫妻をお願いします!!(笑

夫婦なシャルルとマリナを書けて、楽しかったです(*´˘`*)♡

六花さま、ありがとうございました♡


リクエスト創作 「réveillon」 (ミシェル×ジル)

創作(シャルル×マリナ)の世界観ですが、こちらだけ読んでいただいても大丈夫だと思います。
ミシェルとジルは恋人同士で、アルディ邸にいるという設定です。






「・・・遅くなってしまいましたね。」
本日最後の書類を仕舞って、軽く溜息を吐く。

「せっかくの24日なのに、仕事三昧の日にさせてしまって申し訳ないね。・・・君は明日実家に帰るのかと思っていたよ。」
ミシェルはそう言って、降り注ぐ雪の景色を腕を組んで窓から見ている。

「私は・・・、こちらにいます。今までもそうしてきましたから。」

シャルルの鏡をしていたころから、私はあまり実家に接点を持たなくなった。
フランスではノエルは家族で過ごすのが普通だけれど、私はここで過ごしていたかった。自分の役目を全うするには、そうするのが一番だと思っていたから。
今ではここにいるのが当たり前になってしまったけれど。

「じゃあ、・・・オレと過ごすか。」
窓辺にいたミシェルが、執務机にいた私の所へ向かってきて、私の前で跪く。

「オレと深夜の食事を取り、それからミサに出掛けよう。マルシェ・ド・ノエルへ行ってもいい。普通の人々が過ごす時間を、オレ達も過ごそう。」

オレはいつも1人でいたから。

ミシェルはあまり、昔のことを語りたがらない。
私も聞かない。
それでも、キューバを出てからの彼のことを思うことがある。
きっとミシェルも、私がここで過ごしていたときを考えているのだろう。

「ふふ、いいですね。迷子にならないように、つかまえていてくださいね?」
人がたくさんいますから。
2人、手を繋いで行きましょう。

私がそう言うと、ミシェルはスーツの袂から何かを取り出し、私の指にそっと触れた。
「joyeux noël」
そこにはさりげなく輝くダイヤの指輪があり、ミシェルがその指先にキスをする。
「・・・joyeux noël」
私も職務机の引き出しから、ミシェルへのプレゼントを取り出した。





Fin



こちらのリクエストは珠響さんからいただきました(*´∇`*)

今回はジルとミシェルのカップリングでお願いします(≧∇≦)
テーマは、ロマンチックに、、Xmas!
キャーキャー!耽美な2人のXmas、どんなんだろう、、。

この2人、ゆうちゃんの創作で読ませてもらったときに凄くしっくり来たんです。
どちらもシャルルとアルディに人生の舵を握られているところがあるからかな?

ジルにはジルの、ミシェルにはミシェルの過ごしてきた過去がありますが、一緒に過ごしていくことで新しい道程を刻み込んでいってくれたらいいなと思います。



リクエスト創作 「水の綾」 (響谷兄妹)

「兄貴、入るぜ。」
あたしはコンコン、と兄貴の書斎のドアを叩いて、返事も聞かずにそのまま扉を開けた。
少し開け放した窓から入ってくる風を受けながら、あたしはくすっと微笑んだ。

「珍しいこともあるものだな。」
最近の兄貴は落ち着く暇もなく忙しいらしく、めったに顔を合わせない。
どうしても読まなければならない本を兄貴が持っているのを知っていたため、ひと言メモを残して借りていたのを返しに来たら、椅子に凭れてうたた寝する兄貴の姿を見た。

人の気配に敏感な兄貴が、あたしが書斎に入ってきたのも気付かないくらいだから、よっぽど寝入っているのだろう。

「このままじゃ風邪引くな・・・。」
大きめのひざ掛けを持ってきて、ふわりと兄貴に掛けてやる。
久しぶりにこんなに近くで見た兄貴は、少し顔色が良くない。
頬に掛かった髪を横に流すためにそっと触れると、心の中に漣が生まれるのが解った。

「・・・水の綾、かな。」

静まり返った水面に、風・魚や蛙の浮沈などで、小さな水のひだが生まれることを表す季語だ。


あたしはこの人に恋をしている。
こんな些細な触れ合いで、何物も受け入れて波紋で応える水で満たされるように、心の中に溢れ返ってくる。


「ん・・・。」
少し身じろぐけれど、あたしが触れても眠っている兄貴に、ほっと溜息が出る。


気付かれてはいけない。
告げることは出来ない。


それでも、水の綾は際限なく心に表れて、あたしはそれを抱えていくのだろう。
切ないけれど、水の綾は優しい波紋で応えてくれるんだ。





Fin



こちらは巽さんの 2014 BD創作 「触れないキス」に、
「巽さんがうたた寝しているバージョンも見てみたいです。」というコメントを咲優さんからいただき書いたものです。
深く眠っている巽さんというのが新鮮な感じで、思い入れを込めて書けました。
リクエスト、という形にしていいのかなと思いましたが、こちらの書庫に入れさせていただきました。
咲優さん、ありがとうございました(*´∇`*)

リクエスト創作 「栲縄」 (美女丸×マリナ)

*こちらは、書庫【創作(美女丸×マリナ)】の世界観ですが、そちらを読まなくても大丈夫だと思います。マリナは美女丸のおうちに間借りしたあと、美女丸と婚約したという設定です。




遠くから響く祭囃子の音を聞きながら、カタカタと下駄を鳴らして歩いていくと、ついっと何かに引っ掛けて転びそうになってしまう。
「きゃっ・・・あれ?」
前につんのめりそうになったのを、大きな手に支えられ、結い上げた頭がトンと固いものに当たる。
「・・・やっぱり草履にするべきだったな。マリナは危なっかしいから。」
耳元に美女丸の吐息が当たり、あたしはドキッとしてしまう。
「ぞ、草履でもいいけど、足袋履かないとダメでしょ?だから今日は下駄にしたんだもん!あ、イカ焼き買いに行ってくる!」
赤くなった顔を見られないために屋台に走るあたしに、後ろから美女丸の声がかかる。
「あまり買いすぎるなよ、オレは子豚を婚約者にするつもりはないぞ。」
う、うるさいバカ美女丸っ、そんなこと大声で言うなっ!

あたしが美女丸のおうちに間借りするようになって、・・・婚約者になって。
未だに落ち着かないのは、あたしだけなのかしら?
あたしが美女丸の傍にいていいのかって、思うときがあるの。

「おいマリナ、イカ焼きのタレをオレの浴衣に付けるな!」
「いったいどれだけ綿飴を買ったら気が済むんだ。」
「林檎飴と苺飴と蜜柑飴、それぐらいにしとけ!」
あーもーうるさい!

口煩い美女丸に負けず、屋台の戦利品に舌鼓を打つあたしに美女丸の大きな溜息が聞こえたけれど、知ったことじゃないもんねーだ、ふふん。
戦利品を粗方お腹に収めたあたしは、さっきからツキツキと痛む足を少し引きずっていた。
「どうした、見せてみろ。」
小川に架かる小橋に凭れたあたしの足元を、美女丸が覗き込む。
「履きなれない下駄履くから、靴擦れ起こしてるな・・。しょうがない。」
そう言うと美女丸は、あたしに大きな背中を向けた。
「乗れ、背負ってやる。」
あたしがおずおずと美女丸の両肩に腕を掛けると、そのまま背負われて視界が高くなる。
「わっ、目線が高くて気持ちいい!」
「オレは重いがな。」
がおっ!
ちょうどそのとき、パーンと夜空に大きく開く花火が見える。
「美女丸、花火よ、綺麗ねぇ!」
「わかったから、耳元で騒ぐな。」
次から次へと咲く光の饗宴に目を奪われていると、美女丸が何かを呟いた。

栲縄(たくなは)の長き命を欲りしくは、絶えずて人を見まく欲りこそ

「万葉集の巫部麻蘇娘子(かむなぎべのまそおとめ)が詠んだものだ。」

ー栲縄のように長く生きていきたいと思うのは、あなたをずっと見ていたいと思うからー

「不思議だな、いつ死んでもいいと思っていたのに。おまえと一緒の時間を過ごすうちに心持ちが変わってしまった。でもこういうのも悪くないと思うんだ。」
おまえを放っておくと、心配でたまらないからな。おちおち死んでられん。

「・・・そうよ。放っておいたらどっかに飛んでっちゃうわよ。」
ポロポロと零れる涙が美女丸の肩にかかるけれど、美女丸は黙って歩き出した。

これからもちゃんと見張っていてね。
その代り、あたしはあんたを幸せにしてあげるから。


Fin



勝手にリクエスト創作にしてしまいましたが、こちらは真秀さんの美女マリイラストに眼福を受けたわたしが「お話書かせてください」と真秀さんにお願いしたのです^^;
真秀さん、いつも美麗イラストありがとうございます(*´∇`*)
栲縄(たくなわ)とは、コウゾの繊維で作った縄のことだそうです。

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