FC2ブログ

爪先 (崇拝) 《シャルル×マリナ》

シャルルの大きくて指の関節の節々があまり目立たない手が、そっとソファに座ったあたしの足を持ち上げる。

「マリナの足の爪は短くて子供のようだから、そうだな、色は…桃色にするか」
しげしげとあたしの爪を見て言ったシャルルの言葉に、ついムキになってしまう。

「もう、子供みたいは余計よ!」
「形は悪くないけどね。陥入爪や外反母趾にでもなっていたらオレが治してやるところなんだが。」
「なんか体の端っこ痛めると治療してもらうとき痛そうでやだわ…。ジルもあたしの足の形はいいって言ってくれたわよ。」

派手じゃないベビーピンクのマニキュアを丁寧に塗ってくれるシャルルの顔を見下ろして、あたしはそっと溜め息を吐く。
「ふふ、なんだか贅沢ね。シャルル・ドゥ・アルディにこんなことしてもらえるなんて。」
「まったくだ。」
「シャルルがやってくれるって言い出したんじゃないの!」
「あまりにも不器用な君に見てられなくなってね。」
「あたしだってね、時間かけたら綺麗に出来るはずよ!…た、多分…。」
シャルルの冷凍光線は別に怖くないけど、人質(?)に取られているあたしの足が、逆らうと危険に晒されそうでこわいっ!

そうこうしているうちにラインストーンでキラキラと輝くお花を纏ったペディキュアが出来上がって、こんなことまで出来ちゃうシャルルにぐぅの音も出ないわ…。
「ありがと、シャルル」
悔しいけどすごく綺麗に仕上げられたペディキュアを見ると、なんだかあたしの足じゃないみたい。
そう思っていたらシャルルが足を持ち上げ、ペディキュアで彩られた爪先にキスをした。

「え、え?ちょっと、何?」
「…おまじない」
戸惑うあたしを見上げニヤッと笑うと、足の指の間を舐めた。
「ひゃあっ…!」
それはまるで夜を2人で過ごしているときと同じ仕草で、変な声が漏れてしまう。

「爪先に崇拝の意を込めて」

君からはオレに何を返してくれるのかな?
青灰色の瞳を煌めかせてそう問いかけてくるシャルルに、あたしは思いきり抱きついた。


Fin





スポンサーサイト



脛 (服従) 《高天×冷泉寺》

*ヒロシと冷泉寺さんが結婚しているという設定です。

*設定が苦手な方はご注意ください。








それは、急に来た。

「おい、貴緒、どうした?」
左足の脛を抑えて前屈みになった私に、宏が心配げに問いかけてくる。
「脛が、攣った…、悪い、リビングまで連れて行ってくれ。」
「解った。」
肩の下に腕を回して私を支えながら宏は歩いてくれ、そっとソファに座らせてくれた。
「どうしたらいい?」
「優しく、さすってくれ。少し落ち着いたら、ここを押して欲しい。」
膝の外側にある出っ張った骨の前の窪みから指4本分下がった所に足三里というツボがある。
「正座でもして脛を伸ばすのもいいんだが、今は苦しいからな…。」
宏のマッサージにより痛みが落ち着き、ホッと溜め息が出た。

「悪い、仕事が忙しくて水分不足になっていたのがいけなかったんだと思う。」
「それだけじゃないよな、奥さん?」
「…妊娠期間が中期から後期に移行してきて、胎児が鼠蹊部を圧迫してきて血行が悪くなってるのもあると思う。」
「無理はしないって約束だっただろ?次になったら問答無用で辞めさせるぞ。」
そう言って宏が撫でていた手で私の脚を持ち上げ、攣った脛にそっと口付けをする。

「…ああもう、そんな顔するなよ。やっと安定期に入っておまえの調子が戻ってきたんだから、オレだってわかってるよ。ちゃんと片付けておきたいってのはさ。でもオレにとっては、おまえと腹の子を一番に考えるのは止められないからな。」
「そうだな、…悪かった。仕事は引き継ぎも落ち着いてきたし、ゆっくりとこなしていくさ。」
「そうしてくれ。ああもうやりきれねぇよ、結局は先に惚れたもんが服従しないといけねぇんだよな。」

ガシガシと頭を掻く宏の首に抱きつくと、腹の子に響かないように抱き返してくれる。
「聞き捨てならないな、おまえだけがそうだと思うなよ?」

そんなのはお互い様だろうが。
耳元でそう囁いてやると、宏はニッと笑ってあたしを強く抱き寄せた。



Fin

腿 (支配) 《美馬×花純》

華々しい光が溢れる中で決めるターン。
新しいコレクションが決まるように檀上の上を華麗に歩くモデル達。

私もその内の1人。

憧れだったモデルになれて、もう数年が経つ。
悔しいこと泣いたこと、反省することも多かった。
でもやり遂げた喜びに、達成感に勝るものはなかった。

私だけの力じゃない。
支えてくれる仕事仲間やスタッフ、家族がいたから今までやってこれた。
恋人の美馬は支えてくれるだけじゃなく、叱ってくれたり諭してくれることが多くて、そのおかげで仕事のことではストイックに謙虚に接することが出来るようになった。

なのに美馬は、最近私に困ったことをする。
太腿の内側の、着替えても他人には気付きにくい所に咲く赤い花弁。
消えてもまた付けられる、美馬の支配欲の証。

「ここだと、花純の仕事の迷惑にはならないだろ?」
あの黒曜石の瞳に見据えられて言われた言葉の中には、美馬の強い気持ちが込められている。

「もうそろそろ覚悟を決めて、俺のものになってくれ」

解っているわ。
次にプロポーズされたら、…受けようと思っている。

私の内にある赤い華が、これ以上広がらないように。



Fin

腰 (束縛) 《美女丸×薫》

【創作(美女丸×薫)】の世界観ですが、こちらだけ読んでいただけても大丈夫だと思います。
薫さんは美女丸の婚約者で、外国に演奏へ行くと帰ってくるのは美女丸の家という設定です。




「お、割物から始まるのか。この丸い打ち上げ花火を見てると日本の夏って気がするねぇ」

久しぶりに日本に帰国して、美女丸の家に帰ってくると丁度花火大会が開催される日で、これまた立地条件がいいのか縁側から花火の打ち上げがよく見える。

「家で見れるって贅沢だよな。美女丸は毎年こうして花火見ていたんだろ、羨ましいこった」
せっかく帰ってきたから甘えさせてやろうと美女丸に膝枕をしてやったのだけれど、なかなか言う事を聞かなくてほぼ無理矢理してやったので今まで一言も話さなかった美女丸が、少し不機嫌な声で話し出した。

「家族がいたときは見ていたが、ここ何年かは仕事していたかな。1人で見ても面白くもないしな」
何でもないことのように言う美女丸に、そんなことを言わせたくなくて鼻をきゅっと摘まんでやる。
「…おい」
鼻白んであたしを見上げる美女丸に、クスッと笑ってやる。
「これからはあたしと見ればいいだろ。今みたいにさ」
固いけれど手触りがいい美女丸の髪を撫でてやると、フンと鼻で笑っているが、雰囲気は優しくなった気がする。
「風流だねぇ…」

芯入り菊
牡丹
芯入り銀冠菊



色鮮やかな夏の華が夜空に咲いていく。

「なぁ、近いうちに海に行かないか?プールでもいいけど。水着買ったんだよ」
「行ってもいいけど、…水着なんて買ったのか」
「今回はビキニにしてみたんだ。ちょっと痩せて腰が締まったから着てみたくなったんだよ」
あたしの言葉を聞いてなぜか無言になった美女丸が、あたしの腹の方に顔を向けて着ていた白シャツをたくし上げた。

「…ちょっ!?何やってっ、痛っい!」
美女丸はあたしの腰を長い腕で抱き込み、腰の至る所に赤い跡を残していく。
「これで着れないな?…ワンピースにしとけ」
ニヤリと悪い顔をして笑う美女丸に、あたしは思わず美女丸の頭に拳骨をお見舞いしてしまった。

束縛から咲く赤い華が、ワンピースを着るあたしの腰にまるで花火のように散らばっている。


Fin






腹 (回帰) 《和矢×マリナ》

「見て見て、これお義父さんにもらってきちゃった!」

あたしが和矢の実家からもらってきたものを見て、和矢が不思議そうな顔をしている。
「何だ、それ?」
大きな紙袋に畳まれて入っている光沢のあるその布は、早く出されないかと待っているかのようにきれいだ。
「マントだって!古いものだけど黒須家のメイドさんがキチンとクリーニングに出してくれたから、黴臭くなんかないわよ。」
「そんなものうちの実家にあったのか…。」
少し呆れ気味に言う和矢だけれど、紙袋から出して手触りを確かめると気持ちいいのか触って楽しんでいる。
「ね、昔フランスでマント被ったあんたがあたしを包んでくれたの覚えてる?今夜満月だしさ、お月見しながらまた包んでよ。」
「ああ、おまえと再会したときだよな…。別にいいけど、おまえがそんなこと言うなんて珍しいな。悉く情緒とか理解しなさそうなのに。」
「あんたね、可愛い可愛い嫁のことなんだと思ってるわけ!?」
「可愛い子豚ちゃんなら目の前にいるけどなぁ?」
がおっ!

むくれるあたしを、和矢は長い付き合いであたしの機嫌を良くするコツを掴んでるので適当にいなし、ベランダに出てあのときのようにマントで包んで抱きかかえてくれた。
「うわぁ懐かしいわ!あんたにこうされて、あたしすごくドキドキしたのよね。あんたはマリィちゃんのことで頭がいっぱいだったから気にしてなかったでしょうけど。」
未だに和矢のお母さんのことはマリィちゃんと言ってしまうあたしを和矢はそれでいいよ、と言ってくれる。
「オレだってマリナに触れられて、話しながら理性を保つのに大変だったよ。マリナに気付かれたらダメだと思ったから平気そうな顔していたけど。」
「そうだったんだ。うふふ、懐かしいわね。もうあれから長い時間が流れちゃったわ。」
あたしはコツン、と和矢の肩に頭を預け、そっと話しかけてみる。

「あのね、和矢。あたしのお腹を触ってみて。」
和矢の手を取って服越しにあたしのお腹に当てた。

「ここに、マリィちゃんの孫がいるの。今6週目だって。」

一瞬目を見開いた和矢だけれど、すぐ雰囲気を和らげあたしの着ているブラウスのボタンを開けて、あたしのお腹に頭を寄せお臍あたりにキスをした。

「ここにオレとマリナの血脈が回帰されているんだな…。ありがとう、マリナ」

和矢はあたしの着崩れていた服を元に戻してくれ、さらにきゅっとマントであたしと自分の体を包みそっとあたしの頬にキスをした。

「オレ達、親になるんだな。…すっげぇ嬉しい。」

昔と同じように月を眺めているけれど、時は流れていく。
これからまた違った時間を脚を揃えて一緒に歩いていけるのが、和矢であって良かったと思った。



Fin


»