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くもの恩返し 3 (シャルル×マリナ) 【R18】

指に付いたショコラを舐めとり、伏せ目がちな視線を向けて、あたしの体のシャルルはくすっと笑う。
見慣れたあたしの顔なのに、中身が違うとこんなに違って見えるのね。
「どうした・・?」
いつものあたしの声より、低めな声音に翻弄されそうになってしまう。
「あたしじゃないみたいよ・・。」

ああ、やっぱりこれはシャルルの体なんだと実感する。
怯んだように語るテノールだけれど、それでも腰に響くように感じるんだもの。
くいっと手を引かれ、そのままベッドに倒れ込むと、小さなあたしの体が乗り上げてくる。
「・・・面白いね。」
逞しい首元を辿る舌の感触に、ピクッと体が跳ねる。
「こういう趣向もいいかもしれない、・・マリナも協力しろよ?」
耳元で囁かれた言葉に体が熱くなり、どう対処していいのかわからない。
「協力って、どうすればいいのよ?今だって、混乱してるのに・・。」
「君は今、オレなんだ。気持ちの赴くまま触れてきたらいい。ただし、これは君の体だ、抱きつぶすなよ?」
小さな手が、大きくて細い手を持ち上げ、緩めたパジャマの胸元へ差し入れる。
ささやかすぎる胸のふくらみに触れ、思わず顔がかぁっと赤らんでしまう。
「なっ・・!」
「・・ほら、感じるだろう?」

どくどくと波打つ、心臓の鼓動を。
ああ、これはあたしがシャルルに抱かれるときにいつも感じる動きだ。

「・・オレが、君を抱くときどれだけ制限しているのか感じたらいい。いつも、壊してしまわないかと思ってしまうんだ。」
「嘘つき、だって・・。」
あんなに、翻弄されてしまうのに。
それでも、手加減してるの?
「実感したらいい。」
オレが君を抱くときに感じていることを、教えてあげるよ。
そう囁かれたあたしは、上に乗っている体躯からそろっと着ているパジャマを引きおろし、円やかな肩を晒し出す。
目の前に差し出された小さな胸の頂きにそっと舌を這わせ、もう片方は大きな手で包み込み柔らかく触ってみる。
「う、ごめん・・。自分で解ってる以上にささやかな胸だった・・。シャルルの手、大きいから、余計実感しちゃう。」
思わず呟いた言葉に、色気を滲ませた瞳で微笑まれる。
「いいことを教えてやろう。」

オレは気に入っているよ、マリナの体。
この胸も、この腰も、この脚も。
だから触れてみろ、この小さな体を。
きっと覚えている、感じるところを。

あたしの体に入ったシャルルの小さな手に、体に纏っていたガウンを肌蹴られ、綺麗に着いた筋肉の体躯があらわになる。
導かれる手に合わせ、小さな胸を、ちょっとだけ締まった腰を、柔らかな脚を辿る。
大きく背中を仰け反った小さな身体が、熱く息を吐きだす。
「・・・オレも、君に触れたい。」


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くもの恩返し 2 (シャルル×マリナ) 【R18】

「え、何これ・・?目の前に、あたし?」
・・・涼やかなテノールが部屋に響く、この声は?
「えええっ、シャ、シャルルの声ぇ!?って、この手?」
両手を見ると、すらっとして大きな白い手が!?
思わず顔をぺたぺた触ると、すべすべなお肌にさらさらの白金髪がかかる。
「・・・・・止めろ。オレが錯乱したみたいで気分が悪い。落ち着け。」
片膝を立て、そこに頬杖付いて話すのは、とっても機嫌が悪そうなちんちくりんのあたし・・・。

・・・・・・・・・・・・。

「あああああ、何なの、これ。」
両手を見つめて呆然とするシャルルの体のあたしに、冷ややかなあたしの体のシャルルの視線が突き刺さる。
「頭の中で声がしたが、君も聞こえたんだろう?水溜まりで助けたとはどういうことだ?説明願いたいな。」
あたしは先日のことを説明した。
忘れかけてたようなことだったんだけど、水溜まりというので思い出したのだ。
「・・なるほどね。偶々君が呟いた言葉にそのクモが応えたということか。」
「あんた、落ち着いてるわね・・・。なんか見た目があたしなのに、賢くなったみたいに見える。」
「君は落ち着いてくれ。見た目がオレだから行動が情けないよ。見るに堪えない。」
偉そうに溜息を吐くあたしの姿を見て、あたしも複雑になる。
シャルルってどうなっても俺様なのね。
「・・今君、失礼なこと考えてるね?どこまでいっても君は君のままだな。とてもわかりやすい。」
お互い様な気がしてきたわ・・・。
「確か、君がオレと「幸せ」を分け合えたら元に戻ると言っていたな。また曖昧な条件だ、君の感覚のみでしかわからないじゃないか。」
やれやれ、と溜息を吐きながら、あたしの姿のシャルルはベッドから降り、ぺたぺたと短い脚を動かして寝室を出て行ったと思うと、小さくて綺麗にラッピングされた箱を持ってきた。
「メゾン・デュ・ショコラのトリュフだ。ジルが君がフランス語を上達したらご褒美にあげてくれ、と用意していたものだ。話に聞いた限りでは少しは上達しているようだから、ま、いいだろう。」
きゃあ、ここのトリュフ美味しいらしいのよね!
「・・・露骨に喜ぶ自分なんて見たくない、落ち着かないと没収だ!」
あ、ごめん。シャルルの体なんだもんね。
反省してトリュフもらえるなら、大人しくしとくわよ。
「幸せを感じて、とっとと戻らせてくれ。・・・しかし、君の視界は低いんだな。」
180超えてるあんたと一緒にするな!
そっと差し出された箱からトリュフを取り、口に入れると濃厚なショコラの香りが広がる。
美味しい!
「ああ、そういえば、分け合わなければならないんだっけ?」
次もうひとつ、と思って手を伸ばしていたら、腕にあたしの小さい手が乗っけられ、お風呂上がりのバラのソープの香りがふわっと漂った。
これ、あたしが使ってるソープ・・・。
そう思っていたら、薄く開いた唇からトリュフが入り込み、次いで小さな舌が滑り込んできた。
入ってきたトリュフが奪われ溶かされ、また入ってきて。
出ていくのが惜しくって、小さな舌を絡め取って、きゅっと吸いあう。
惜しかったのはショコラ?それとも・・・。
「・・・君は食べることに特に幸せを感じるだろう?どう?」
大きな瞳を伏せ気味にして、甘く誘惑するあたしの姿のシャルルに翻弄される。
「・・・ダメよ、ドキドキするけど。あんたは、どうなのよ?」
きっと今のあたしは、逸らした青灰色の瞳の下が仄かに赤く色づいてるのだろう。
「まだまだ・・・足りないね。」


くもの恩返し 1 (シャルル×マリナ) 【R18】

*こちらは、C'est mignon! 美琴さまがwakaoさまにリクエストを受けて書かれた、「美馬さまと花純ちゃんの精神が入れ替わる」というお話を読ませていただいて、「シャルマリ版が書きたい」というわたしの不躾なお願いを快く了承していただいたお2人のもと書かせていただきました!
美琴さま、wakaoさま、本当にありがとうございました<(_ _)>
艶やかな美琴さまのお話は、美琴さまのブログにてお気に入り登録されると読めます♡
(その際は美琴さまのゲストブックにひと言ご連絡お願いします<(_ _)>)

もしかしたら、R18になる・・・かも?




それは、偶然だった。
仕事がないときは(最近はこれでも、エッセイ漫画とか色々需要があるのよ?)、庭のバラの絵を描いたり景色を描いたりしてるのだけど、ふと座り込んだら、そこに小さなクモが歩いていたの。
10センチほどの水溜まりの手前で止まったクモに、何の気なしに持ってた定規で橋渡ししたのよね。
そしたらクモが、えっちらおっちら定規の上を歩いていって、無事水溜まりを渡りきったのよ。
あたしはその定規を手に取り、部屋に戻ろうと歩き出した。
これ、今度童話の仕事取ってもらって描いてみようかな。
なんでも仕事出来るなら、話してみる価値あるわよね。
もうそれで、そのことは忘れていたのだけど。



「ううう、頭痛い・・・。舌が変な感じ・・・。」
寝室の大きなベッドの上で、あたしは枕を抱きかかえ、その触感に癒されていた。
さすがアルディ家、リネンも最高級品だもの。気持ちいいのよね。
「・・・フランス語の勉強でくたくたになっているそうだね。ジルが苦笑していたよ。なんならオレが懇切丁寧に指導してやろうか?」
「いいわよ、あんたに前お願いしたらえらい目にあったもの・・・。ジルには悪いけど、もう少し付き合ってもらうわ。」
「もう少しで済めばいいけど、まず無理だろう?」
「ジルが根を上げたら、フランス語の先生紹介してよ、シャルル。これでもだいぶ日常の会話は出来るようになってきたんだから。」
枕から顔を上げ、あたしはほっと息を吐いた。
「あたしがシャルルだったら、フランス語スラスラだったのに・・。」
「ジルだろうとミシェルだろうとスラスラだっただろうよ。」
呆れたように呟かれた言葉に、
「そりゃそうなんだけどさ。」
と口がおちょぼ口になったとき、

『その願い、叶えてあげる。』

「え?」
「何?」
あたしとシャルルが同時に声を上げた途端、真っ白い光に包まれた。


『大きな水溜まりの上を渡らせてくれてありがとう。
番いの所に行きたくて急いでいて、すごく助かったんだ。
これは、そのお礼。
その人間と意識を変えたよ。
君がその人間と「幸せ」を分け合えたとき、元に戻る。』

・・・・・え、何それ?
水溜まりって・・・あのときの、クモ?


止まっていたような時間が過ぎて、ふと目を上げると。


眉根に皺を寄せた「あたし」が、こちらを見ていた。

冷たくて甘い記憶 (鈴影×ユメミ)

「--何をしている?」

薄い寝着の上に大きなストールを掛けて、ベランダから月を眺めていると、後ろから心持ち強めの声音のレオンハルトの声が聞こえた。

「おかえりなさい・・。なんだか寝付けなくてここに出たのだけれど、あなたをお迎え出来て良かったわ。」
「まだ冷える、早く部屋に戻るんだ。」
「そうね、でも、もう少しだけ・・。」

あたしの後ろに立ったレオンハルトに凭れると、その長い両腕があたしを守るように回され、長い緑髪に包まれるようにされ、その暖かさにほっと心が緩んでしまう。

「ね、少しだけ話聞いてくれる?」
「・・・どうした?」

「今日ね、久しぶりに天吾と人吾に会ったの。その前に会う約束したときに、あるものが食べたいって言われて・・。」

名前は忘れたけれど、亡くなったママがよく作ってくれたお菓子。
バナナの皮をひと筋だけ向いて根元に向かってくるくる回してその部分をピックで留めて、中身をスプーンで取り出し、そこにバニラアイスを詰めて冷凍庫で固まらせて、上に生クリームを絞り細かく切ったピスタチオで飾り付けする。

「簡単なお菓子なんだけど、ママはお手製のバニラアイスで作ってくれて、生クリームは美味しいって評判のパン屋さんに頼んで業務用を譲ってもらっていたの。果物の中に入れたアイスってなかなか固まらなくて、あたし達待ちきれなくって・・。取り出したバナナでジュース作ってもらって待ってたわ。」
ふふ、と微笑みが浮かんでくる。
「他にもいっぱいママに作ってもらったものがあるはずなのに、双子がどうしてもそれが食べたいっていうの。だから作って食べたら、なんかこう胸がきゅっとなっちゃって・・・。」

もう戻れないあのときを、少しだけ感じた懐かしさ。

「味覚や嗅覚で記憶が呼び起されることがある。」
「・・あなたは?」
「おまえの作るほうれん草のキッシュは、養母が作ってくれた味と同じなのに驚いたことはある。」

だけど、とレオンハルトは言う。
「おまえの作る料理は、全部好きだ。」
「そういうところは、レオンハルトはあたしに甘いのね。」

振り返って見上げたあたしの瞼に、レオンハルトは口付けしてくれる。

「明日の朝のデザートに、バナナのアイス出していい?」
あなたにも、食べてらいたいわ。

「今すぐベッドで冷えたこの身体を暖めて、いい子にしてたらね。」
「あなたも一緒に?」
「風邪をひかないように、この身体に言い聞かせてあげないとな。」
「あら、じゃあ身体が冷えたのも悪いことばかりじゃないのね?」
言葉遊びはもう終わり、というようにひょいとあたしを抱き上げ部屋に戻るレオンハルトの耳元で、あたしはそっと呟いた。

あたしたちの間にも、いっぱい作っていこうね。


微かに頷くレオンハルトの首元に、あたしはぎゅっと抱きついた。





Fin




後悔先に立たず (シャルル×マリナ)

ふふふ、振り返るのが怖い!
それどころか、身動ぎするのも怖い・・・。
仄かに光るホテルの電灯の中、お互いに裸のシャルルに抱え込まれたまま、内心冷や汗だらだらのあたしだった。


約束してたお出かけ、シャルルはちゃんと守ってくれた。
たまにあたしがやってしまう失敗に冷凍光線を向けられたけど、気にしてたらやってられないわよ!
朝市を堪能して、美術館行ってまんじりとも動かないあたしに付き合って、量は制限されたけど美味しいケーキ食べさせてもらって。
こういうデートらしいことってあんまりしたことないから、新鮮だった。
シャルルのあちこちに行くたびに始まる、長~い説明は参ったけどね・・・。
「この手法は・・・、おいマリナ、聞いてるのか!?君が来たいと言ったところだろう!」
あ、聞いてる途中で船漕いでるの、ばれちゃったわ。


そうこうしているうちに、宿泊してるホテルのレストランで、ついやっちゃったのよね・・・。
飲み過ぎるな、というシャルルの忠告を聞いていたけれど、所要で呼び出されたシャルルがいない隙についついワインが進んじゃって。
そんなあたしを見て、戻ってきたシャルルが大きな溜息を吐いていたけれど、シャルルに支えられホテルの部屋に戻ってきたあたしは、な、なんと・・・!
油断してたシャルルをベッドに押し倒した・・・ところまでは記憶がはっきりある。
そのあとは、おぼろげなんだけど・・・。ええええーと・・・。

「君は、オレの上に乗りシャツのボタンを何個かはずし、首筋に唇を這わしてきた。」
あああ、やっぱりあたしが目が覚めたのばれてる・・・。
恐る恐る後ろを振り返ると、嫣然とした笑みを浮かべたシャルルの蠱惑的な視線に捕われた。
ひゃあ、自分のやったことが怖い、シャルルの色気たっぷりの声音も怖いっ!
「シャツの隙間から手を入れ、胸に触れ脇から腹部に手を這わしベルトに手を掛けた。」
なんでそんなことしたのあたし!
「そしてベルトをはずし、その中に手を、」
「ごごごごめんなさい、あたしったらなんてハレンチなことをっ!忘れて!無理だろうけど忘れて!」
「・・・・・入れようとしてそのまま眠ってしまったんだけどね。」
へ?
そ、そうなんだ。な、なんて言ったらいいのかしら?
「煽るだけ煽られて、オレは置いてきぼりにされてしまった。」
・・・申し訳ございません。
「ところで、マリナ?」
「はい?」
なんでしょう?
「君は今までも飲むとこうなっていた、訳ではないね?」
ぶんぶんぶん、とあたしは思いきり頭を縦に振ってしまい、酔いがぶり返してきてふらぁっとなってしまった。
そのままシャルルの胸に顔を埋め、ぼそぼそと小さな声で呟いた。
「・・・デート出来て浮かれてたのよ、それがワイン飲んで悪い方に出ちゃったと思う。」
ふっと微笑んだのが解るシャルルにグイと体を引き上げられ、深く口付けされてしまう。


「煽った責任、取ってもらおうか。」


次の日、あたしは二日酔いの頭痛と、責任を取らされた腰の痛みでベッドの住人となった。



Fin


結晶が包まれるとき (高天×冷泉寺) 【R18】

「ふざけた事言ってるんじゃないぞ、いい加減にしろ!」
あたしが泊まっているホテルに押しかけてきた高天との間に距離を保ち、あたしは叫んだ。
「何がふざけてるって言うんだよ、オレは本当の事しか言ってない!」
それ以上は近づいて来ない高天は、あたしをギリっと睨みながら両手を握りしめている。
「今まで、そんなふうに扱ってきてないくせに、なんで、今頃・・・。」
思わず目を逸らして呟いたあたしの声に、高天が弾かれるように顔を上げた。
「オレは、おまえを怖がらせないように接してきた。おまえが、オレを男として意識してくれるようになるまでずっと待っていた。今頃なんかじゃない、おまえはやっとオレを男として見たんだ!」
カッと頬が染まるのが解る。
「そんなに言うのなら、これを見てみろ!」
あたしは来ていたジャケット、シャツ、クロップドパンツを脱いで下着だけになった。
「あたしはおまえが好きなユメミとは違うタイプの人間だ、心も、体も。第一、あたしの何がおまえを惹きつけたんだ?言えるのなら言ってみろよ!」
叫ぶように言ったあたしを高天はじっと見つめると、そっと近づいてきて自分の来ていたジャケットであたしを覆いそのまま抱きしめてきた。
不意を突かれたあたしが身動ぎしても、羽交い絞めのように抱きしめてきて離そうとしない。
あたしとは違う、男の空気を感じ背中が戦慄いてしまう。
「おまえが好きなユメミ?何故今ユメミの名前が出てくる?おまえとユメミが違うのなんて当たり前だろうが。オレはおまえを好きになったんだ、惹きつけたところ?わかった、全部言ってやる。」
決して小さくはないあたしをそのまま抱き上げると、高天はずかずかと歩き出した。
「ちょっ・・、おまえ、どこへ行くつもりだ・・?」
無言で答えない高天が、足で乱暴に開けたドアの先にはベッドがあり、あたしはそこにそっと横たえられた。
「・・・涼やかな声が好きだ。」
見開いた目に近すぎてぼやける高天の瞼が見え、柔らかく唇を塞がれる。
「はっきりと意見を言うところ。」
唇が顎を伝い、喉元に強く押し付けられる。その刺激にビクッと意識がはっきりし、動こうという意思はあれど動けない。
「誰にも気付かれないように場を収めようとするところ。」
伝った頬から耳元に囁く声に、きゅっと目を瞑ってしまう。
「長い手足、なよやかな体躯、さらさらした短い髪、いい匂いのする首元、白い肌。」
大きな武骨な手が触れて撫ぜて、あたしを確かめていく。
「もう、止め、ろっ・・、はっ・・!」

「怖がるな。」

高天の口から出た言葉に、体が固まり眦からひと筋の涙が零れた。
その涙を舐め取った高天が、顔を上げあたしを射竦めた。
「ユメミと比べたりしたことねぇよ。騎士団の事が終わってから、オレはずっとおまえしか見ていない。ずっと待って、やっと世界に入れてくれたのに、逃がしたりしない。」

あたし、あたしは、もう。
「あたしはっ・・、うっ・・。」
塞がれる口唇。

「無理に今、口に出して言う必要はねぇよ。その代り・・・。」

体で語ってくれ。

耳元で囁かれた言葉に、あたしは高天の背にぎゅっとしがみ付いた。

「第一なんだよ、下着姿になんかなりやがって。」
あたしを全裸にしたあと、自分の服を破棄捨てるように脱ぎ去った高天が覆い被さってくる。
「あームカつく。他の男にそんなことしたらオレ何するかわからねえよ?」
「馬鹿か、誰がするかっ・・。」
「自棄になってやったことくらいわかってるさ、でも、ムカつくんだよ。」
「ああっ・・はっ・・!」
胸を片方は掴まれ、もう片方は熱い口腔に包まれる。
臍を舐められ、脇腹を撫でさすられ、うつ伏せにされ胸を大きな両手で包まれ背中のあらゆるところに口付けられる。
高天の辿った後は赤い跡が刻み込まれ、熱い波に攫われ息が続かなくなってしまう。
散々あたしの体を堪能していた高天は、誰にも触れられたことのない所に顔を埋めてしまった。
「イヤだ、高天、そんな・・とこ舐めるなぁっ・・!」
あたしはそう言っているのに、あたしが力尽きてくったりするまでそこを舐め指で慣らしてしまった。
「冷泉寺、オレ・・。」
耳元に囁かれる声は、今までに聞いたことがない声音だった。
「おまえの全部が好きだ。」
ふと体の力が抜けたあと、すさまじい痛みが体を駆け抜けた。
「ふっ・・!」
痛みの声を上げるのを是としないあたしを、大きな背中に爪を立てるのを許す高天。
あたしが高天に慣れるまで動かなかったが、少し力が抜けたのが解ったのだろう高天が、少しづつ動いてきた。
あたしの間に入った高天の肩に片方の足が載せられ、白い甲が揺れているのが見える。
痛みがマシになっていき、ムズムズするような感覚に、これが快感なんだと自分でわかってくる。
「冷泉寺、好きだっ・・。」
「は、高天っ、も・・う・・。」
「ああ、一緒に・・。」
白い光が見えたような気がしたとき、薄い膜越しに高天の欲望が吐き出されたのだろう感覚を感じ、あたしはそのまま気を失った。


目が覚めると、体がさらさらしていた。
どうもあたしが気を失っている間に暖かいタオルで拭ってくれたようだ。
下半身が痛怠い感覚が残っているが、これはしょうがないだろう。
「冷泉寺、目が覚めたか・・。ごめん、理性が効かなかった。殴りたきゃ、殴れよ。」
そう言って目を瞑る高天を見て、やれやれと思う。
・・・あたしが本当に嫌なら、絶対に許してやしないさ。
「阿呆。」
目を瞑ったままの高天に抱きつき、耳元で囁いてやる。
「これからはいつだって、あたしの言いたいことは聞いてもらうからな。覚悟しとけよ。」
「ああ。」
そうやってあたしたちは、長い時間抱き合っていた。



Fin

癒しの腕 (シャルル×マリナ)

1人で入ったはずの大きなベッドで、ふと目が覚めるとシャルルがいた。

シャルル、帰ってきたんだ・・・。

シャワーを浴びてそのまま寝たのだろうシャルルから、ボディソープの香りがほわっと漂ってくる。
あたしは少しベッドの上に行って半身を起こし、シャルルの顔をそっと覗いてみた。
少し、顔色悪いかな?
大分強硬に推し進めて仕事してたらしいから、疲れが溜まっているのよね、きっと。

深く眠っているシャルルを起こさないように、そっとあたしの胸に抱きしめてみた。
あるがなきことのようなささやかな胸だけど、少しは柔らかくてほっとするかもしれないしね。
嫌がられたら離れようと思ってたんだけど、シャルルは無意識にあたしの背に腕を回し胸じゃなくて脇の付け根に顔を埋めてきた。

・・・・・そこの方が気持ちいいってこと?たまたま?胸と腕の大きさや感触が似てるってこと?

身動ぎもしないシャルルが気持ちいいのなら、それはそれでいいけどさぁ。
多分昔よりは多少は凹凸が出てきたはず・・・なのに、うーん気のせいだったのかしら?
まぁでも、人肌って触れ合ってると安心するわよね。
寝てても嫌がってないんだから、このまま寝ちゃおうっと。

そしてあたしは夢の中へ。
気付いたらシャルルに全身ホールドされてて、離してちょうだいギブギブって感じだったんだけど。

「なんだか無駄に気持ちよく寝れた気がする。」

やけにすっきりとしたシャルルの起き顔を見て、あたしはふふんと笑ってやった。
「マリナさんの癒しの腕のおかげだと思うわよ?」




Fin

変わらぬ熱 (シャルル×マリナ)

熱ってさ、上がりきると少し体が楽になったような感覚がするときあるじゃない?
そして、下がってきたときに余計体に堪えるような感じになっちゃうのよねぇ。

「38.2℃か、少し下がったな。これからはもう下がっていくだろうから心配ないだろう。」
「・・・そうよね、最高で39.8℃だったもの。でも今の方がだるさを感じるわ。」
「熱は高かったが、風邪だから大人しく寝ていればいい。あと水分は取ること。」
「関節は痛いけど、喉は痛いのましになったし、消化のいい食べ物食べて早く治しちゃうわ・・・。もう少ししたらシャルルがまとまって休み取れるんだもん。美味しいもの食べに連れて行ってくれるって約束したもんね、仕事のネタにもしたいし。」
まとまって話したせいか余計ガラガラ声になっておまけに咳き込むあたしの言葉に、シャルルの溜息が重なる。
「どっちにしろオレはもうカンヌへ鑑定に行かないといけない、その間に治ってなかったら約束は延期だ。根性で治すんだな。」
「ふん、やる気と根性だけは雑草並みよ、延期になんてさせるも・・んですか、ごほごほっ。」
「ジルに後は頼むから、何かあれば彼女を呼べ。くれぐれも無茶はするなよ。」
「そんな気力は、まだないわ・・・。もう出るのよね?」
じゃあ、お願い。
「眠るから、子守唄歌ってちょうだい?・・・あんたの声、奇麗だもの。」
あたしがそう言うと、珍しいものを見るようにあたしを見た。
「気弱になっているのかな?珍しいこともあるものだね。」

・・・・・・人をなんだと思ってるのかーしーらー?げほっ。

「Fais dodo, Colas mon p'tit ・・・」

あたしの両瞼の上を大きくて細い片手で覆い、涼やかなテノールで密やかに歌われる子守唄。

「Ton cousin Gaston Fait des gros bonbons
Ta cousine Charlotte  Fait de la compote・・・」


昔聞いた、オデットという女性に歌ってもらったのかしら。
もしかしたら、ママンにも歌ってもらったことがあるのかもしれない。

「・・・ありがとう、シャルル。」
思うところがあるかもしれないのに、歌ってくれて。
シャルルの歌が聞きたいっていう気持ちを、汲んでくれたのかな。
瞼に感じる体温と、耳に心地いいシャルルの声であたしはうとうととしてしまう。
歌の合間に呟かれたシャルルの声は、小さすぎて聞こえなかった。



「帰ってくるまでに治さないと、・・・お仕置きだよ?」

だから早くおやすみ。
君が眠るまで、歌っていてあげるから。



Fin

2014  ジルBD創作 「お茶会」

こちらは書庫【創作(シャルル×マリナ 再会後)】と【創作(カーク×エリナ その後編)】の世界観ですが、そちらを読まなくても大丈夫と思います。
シャルルとマリナ、ミシェルとジル、カークとエリナが恋人同士という設定です。




「あらあら、いったいどういうことでしょうか?」
仕事中だった私は、マリナさんに手を引かれ、清かな光がそそぐ中庭に連れて来られました。
「シャルルにね、お許しもらったからお茶会しましょ!エリナも来ているのよ!」
テーブルに置かれたお茶やケーキ、サンドイッチやスコーンをメイドと共に用意しているエリナさんが、私達を見つけてふわりと微笑んでくれました。
「ジルさん、お誕生日おめでとう!お忙しいから少しだけだけれど、お祝いさせてくださいね。」
「ホントはゆっくりパーティーしたいんだけど、ジルもうすぐイタリアに行かないとだめじゃない?だからせめてお茶会だけでもってシャルルからジルを奪い取ってやったの!大体シャルルはね、ジルを独り占めしててずるいのよ!」
いつも元気なマリナさん、優しいエリナさんからのお祝いの言葉に、私も心から微笑むことが出来ました。
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えさせていただきますね。」
私の好きなダージリンティーの香りに包まれながら、和やかなお茶会が始まりました。



「あの、これ、良かったら・・・。お気に召してもらえるかわからないんですけど。」
そう言ってエリナさんが差し出してくれたのは、可愛いお花の入った籠とシュシュ。
「まぁ、可愛い。シュシュもこんなにたくさん。」
「ジルさん、いいものをたくさんお持ちだから何がいいのか悩んで、気軽に使ってもらえるものにしようと思って。」
「嬉しいです、大切に使わせていただきますね。」
「あたしはね、エリナに教えてもらって作ったこのケーキがプレゼントなの。なんか、ごめんね、ささやか過ぎて。でも、初めてお菓子作りが成功したんだ。ちょっと成長かしら?」
恥ずかしいような申し訳ないようなお顔で話すマリナさんのお手製のケーキは、厚いタルト生地の上に3層に果物とクリームが挟まれたスポンジ生地があり、イチゴと柑橘類がクリームと共に飾られたケーキ。
「これは、デコポンですか?それにとても手が込んだケーキですね。大変だったでしょう?」
「エリナが付きっきりで教えてくれたから大丈夫!でもエリナが帰ってこないってカークに恨まれちゃった。」
あっはっはーと笑うマリナさんにエリナさんが「もう!」と苦笑していて、微笑ましく思ってしまいます。
「甘さと酸味がスポンジ生地とタルト生地に合っていて、とても美味しいです。ありがとうございます、マリナさん。」
私がケーキを食べ終えると、マリナさんとエリナさんがなんとなくモジモジし始め、顔を見合わせていました。
「どうかしましたか?」
私が問いかけると、マリナさんがおずおずとテーブルの下から何かを取り出しました。

「うん、実はもう一つプレゼントがあるんだけど・・・。」
そう言って手渡されたのは、私とミシェルが描かれた絵。
「余計なお世話だとは思うけど、あたしたち、そういう2人を見ているの好きなのよ。」
ね、とマリナさんが目で問いかけると、うん、と頷くエリナさん。
「なんで喧嘩したのか知らないけど、またそういう2人が見たいわ。」

「・・・・・ミシェル、とてもいい顔をしていますね。そして、私も。」
私達、こういう空気を纏っているのですね。

「もうすぐ仕事で逢いますから・・。話、してみます。」
私が落ち着いて話したのにホッとしたのか、マリナさんとエリナさんが溜息を吐きました。
「ミシェル、ピリピリしてたし、ジルもいつもと違うかったから。どうかと思ったけど描いてみて良かった。」
ジルに怒られなくて。と呟くマリナさんに頷くエリナさん。

「お気を遣わせて、申し訳ありません。・・・ところで、何が原因かお聞きにならないのですか?」
「「ううん、何か怖いからいい(です。)」」
お2人とも不自然なくらい目を合わせてくれませんが、私のことどう思ってらっしゃるのですか?
「「ミシェル(さん)が絡むと、ね。」」
ちょっと気になる反応を返すお2人ですが、このお茶会に呼んでいただけたことが嬉しいので、私は微笑んでお茶を飲みました。





Fin

Category: 2014 BD創作

リクエスト創作 「沸点と融解点」 (シャルル×マリナ)

こちらは【創作(シャルル×マリナ 再会後)】の世界観のお話ですが、そちらを読まなくても差し支えないと思います。
マリナはミシェルの陰謀でフランスに連れて来られ、紆余曲折?あってシャルルの家に居候(というか出してもらえない)しながら、フランスでの暮らしの記事などを取材して仕事をしているという設定です。




それは、偶然だった。
あたしはフランス旅行に来て、ホテルで過ごしているセレブな日本人の感想を取材させてもらいに、某有名ホテルに来ていた。これはれっきとした出版社からの依頼なので、別に強行突破で取材に来たんじゃないわよ、念のため。
取材も無事終わり、さぁ帰ろうかとラウンジを通りかかったら、ここにいるはずのない人物を見つけた。

フランスの華、シャルル・ドゥ・アルディ。

あれ、今日はトゥールーズに行ってるのではなかったかしら?
たしかここからは大分離れてなかったっけ?うろ覚えだけど・・・。
シャルルに話したら冷凍光線で済まなさそうなことを考えながら、つい物陰に隠れてしまった。
だって、すごいフランス美人と一緒だったんだもん!
緩やかな金の巻き毛を肩甲骨くらいまでゆったりと下ろし、スタイルがいいのを際立たせる上質のスーツを着こなした背の高い女性。
ラウンジで向かいあって座っていた2人は、広い庭を見渡せる窓に移動して和やかに話している。
シャルルはいつものように無表情だけれど、取りつく島がないというほどでもない。
その女性は軽くシャルルの腕に右手を乗せていて、こうやってみると本当にお似合いだった。
ズキッと胸に痛みが走る。
・・・別に、今更のことなんだけど。やっぱりあたしはちんちくりんで、どうやったってシャルルの隣には似合わない。
悔しいけど、泣いたりなんかしない。
それに捕われてしまうのは、シャルルを信じてないことになるから。
だけど、2人の存在感に目が離せなくなっていると、不意にキラッと輝くものが見えた。
・・・・・え?
それがその女性の左手に握られたナイフだと頭が認識した途端、あたしはシャルルと彼女の間に割り込んでいた。
「マリナっ!!」
左腕に感じる熱さ、流れる血、怒号と喧噪に、あたしはそのまま気を失ってしまった。
シャルルの腕の中で感じる、彼の体温に安心しながら。



「まったく、君の無謀さには呆れ果てるばかりだ。」
アルディ家の医療室のベッドで、不機嫌マックスのシャルルに事の顛末を説明された。
この一ヶ月くらい、執拗に巧妙に攻撃を水面下でされていたこと。
それでも根気よく調べていると、シャルルの年の差のある同級生であり、学校のマドンナで上流階級の身分である件の彼女が裏で手を引いていることを突き止めたこと。
わざとあのホテルのラウンジで隙を作り、自分を襲わせるように仕組んだこと。
「まさか君が現れるとは思わなかったよ。君が取材で行くホテルの名前は聞いていたが、間違えて全然違うホテル名をジルに話していたんだね。」
「あ、やっぱり間違えてた?大西洋に影響なしってことで・・・。」
「それを言うなら大勢に影響なし、だ。この間抜け。」
ああ、冷凍光線どころかブリザードが降り注いでる!寒い、寒いわっ!
「で、でもこの傷かすっただけだから、跡も残らないんでしょ?もうこれからは大人しく原稿書いてるからさ、あははっ・・・は。」
ベッドを上げてもらい凭れていたあたしは、シャルルに背骨が折れるんじゃないかと思うほど抱きしめられた。
「・・・かすり傷であれ、君がオレを庇って傷つくなんて耐えられない!もうあんなことはするな!」
「だって、自然に動いてしまったのよ。・・・シャルルこそ、自分をもっと大切にして。あんたが傷つくと心配するのはあたしなんだから。」
広い背中にあたしの短い腕を回して、シャルルの胸に顔を埋めると早い心音が聞こえる。
「また、同じようなことがあったら、君を軟禁するかもしれない。」
決して顔を見せまいとするシャルルの硬い声に、あたしも必死で彼にしがみ付く。
「それで大人しくしてるあたしじゃないわよ。第一そんなことにならないようにあんたが気を付けていればいいの・・よ。あた、あたしだってびっくりしたんだからっ・・・!」
あたしなんかより綺麗な人といるし、お似合いだったし、なのに襲われそうになってるし。
何も知らなかったのあたしだけじゃない。
小声で呟くあたしの言葉に、逆鱗があったのかシャルルの拘束がさらにひどくなった。


あたしなんかって思わせないように、無茶をしたことを思い知らせるために、君に教育が必要だね。


そのあとのことは、もう何も言いたくない。


ただ、シャルルの完全零度の恐ろしさは思い知ったのだった。




Fin

こちらはロシアンジュさんのもう一つのリクエストだったのですが・・・。

「シャルルの母校訪問、もしくは恩師の葬式のような同窓会のような状況。マリナも同行。歳の差の同級生。現れた学校のマドンナとシャルルの間にはかつて何があった!?」

リクエストが活かされてないかもしれません(>_<)
マリナが同行というよりは、偶然居合わせ突っ込んでいっただけになってしまいました。

裏設定では、歳の差のある元同級生の学校のマドンナは、ずっと付き合っていた彼がシャルルに横恋慕したため、執念を燃やしてシャルルに執拗に攻撃したというのがあります。不憫な女性かもです。名前も出てこなかったし^^;

ロシアンジュさん、色々と本当に申し訳ありません<(_ _)>


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