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腹 (回帰) 《和矢×マリナ》

「見て見て、これお義父さんにもらってきちゃった!」

あたしが和矢の実家からもらってきたものを見て、和矢が不思議そうな顔をしている。
「何だ、それ?」
大きな紙袋に畳まれて入っている光沢のあるその布は、早く出されないかと待っているかのようにきれいだ。
「マントだって!古いものだけど黒須家のメイドさんがキチンとクリーニングに出してくれたから、黴臭くなんかないわよ。」
「そんなものうちの実家にあったのか…。」
少し呆れ気味に言う和矢だけれど、紙袋から出して手触りを確かめると気持ちいいのか触って楽しんでいる。
「ね、昔フランスでマント被ったあんたがあたしを包んでくれたの覚えてる?今夜満月だしさ、お月見しながらまた包んでよ。」
「ああ、おまえと再会したときだよな…。別にいいけど、おまえがそんなこと言うなんて珍しいな。悉く情緒とか理解しなさそうなのに。」
「あんたね、可愛い可愛い嫁のことなんだと思ってるわけ!?」
「可愛い子豚ちゃんなら目の前にいるけどなぁ?」
がおっ!

むくれるあたしを、和矢は長い付き合いであたしの機嫌を良くするコツを掴んでるので適当にいなし、ベランダに出てあのときのようにマントで包んで抱きかかえてくれた。
「うわぁ懐かしいわ!あんたにこうされて、あたしすごくドキドキしたのよね。あんたはマリィちゃんのことで頭がいっぱいだったから気にしてなかったでしょうけど。」
未だに和矢のお母さんのことはマリィちゃんと言ってしまうあたしを和矢はそれでいいよ、と言ってくれる。
「オレだってマリナに触れられて、話しながら理性を保つのに大変だったよ。マリナに気付かれたらダメだと思ったから平気そうな顔していたけど。」
「そうだったんだ。うふふ、懐かしいわね。もうあれから長い時間が流れちゃったわ。」
あたしはコツン、と和矢の肩に頭を預け、そっと話しかけてみる。

「あのね、和矢。あたしのお腹を触ってみて。」
和矢の手を取って服越しにあたしのお腹に当てた。

「ここに、マリィちゃんの孫がいるの。今6週目だって。」

一瞬目を見開いた和矢だけれど、すぐ雰囲気を和らげあたしの着ているブラウスのボタンを開けて、あたしのお腹に頭を寄せお臍あたりにキスをした。

「ここにオレとマリナの血脈が回帰されているんだな…。ありがとう、マリナ」

和矢はあたしの着崩れていた服を元に戻してくれ、さらにきゅっとマントであたしと自分の体を包みそっとあたしの頬にキスをした。

「オレ達、親になるんだな。…すっげぇ嬉しい。」

昔と同じように月を眺めているけれど、時は流れていく。
これからまた違った時間を脚を揃えて一緒に歩いていけるのが、和矢であって良かったと思った。



Fin


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